「ピンどめ、シャーペン、鉛筆…あっ、受験票はっ!?」
「持ってるよ。ってか、ピンどめとか付けないからね」
「なーんか、すみれさんの方が緊張しちゃってるね」
クスクスと笑う凛空先輩と悠希。
「緊張しないほうがおかしいですよ!だって…だって…!」
今日は悠希と凛空先輩の入試なんだもん!
私はやけに落ち着いている二人を見上げる。
玄関先でにこやかに笑う二人は、
本当にこれから受験をするのかと疑ってしまうほどだった。
「大丈夫だよ」
悠希に頭をポンポンとされる。
不思議と落ち着いた。
「うん…そうだね。頑張って」
私は悠希と凛空先輩をしっかりと見据えた。
大丈夫だよね。
2人なら。
私は、開けられた扉から、
寒みぃーと漏らしながら出ていく二人を笑顔で見送った。