「ごめんね……」
ギュッと抱きしめると、
彼女の匂いにふわりと包まれる。
やっぱり、この匂いが一番安心するんだ…。
その時、すみれの手がゆっくりと俺の背中に回った。
「すみれっ…」
びっくりして顔を上げると、
虚ろな瞳で薄く笑うすみれと目が合う。
でも、そんな優しげな瞳を見るのが辛くて、視線を下げた。
「……悠希…好き……」
ボソりと発せられた言葉に、
俺は弾かれたように視線をすみれに戻した。
「すみれ……ごめ ─────」
" ごめんね "
その言葉が、喉の奥でつっかえる。
今一番伝えなければいけないのは、
ごめんね、じゃないね。
「大好き…すみれ……」
俺は、すみれに優しく触れるだけのキスをした。
失敗も、君を幸せにして償うから。
成功も、君と分ち合いたいから。
だから、隣で笑っていて下さい。
それが、俺の一番の願いです。
すみれの花言葉は、
『ささやかな幸せ』
『ささやかな愛』
俺は、君とたくさんのことを積み重ねてできた花束を、いつか贈ります。
そして、
小さな愛も、幸せも、
いつか大きく育ったと笑い会える日を、
思い描きます。


