ルームシェア~7人の王子様~



「ごめんね……」


ギュッと抱きしめると、
彼女の匂いにふわりと包まれる。


やっぱり、この匂いが一番安心するんだ…。


その時、すみれの手がゆっくりと俺の背中に回った。


「すみれっ…」


びっくりして顔を上げると、
虚ろな瞳で薄く笑うすみれと目が合う。

でも、そんな優しげな瞳を見るのが辛くて、視線を下げた。


「……悠希…好き……」


ボソりと発せられた言葉に、
俺は弾かれたように視線をすみれに戻した。


「すみれ……ごめ ─────」

" ごめんね "


その言葉が、喉の奥でつっかえる。

今一番伝えなければいけないのは、
ごめんね、じゃないね。


「大好き…すみれ……」


俺は、すみれに優しく触れるだけのキスをした。

失敗も、君を幸せにして償うから。
成功も、君と分ち合いたいから。

だから、隣で笑っていて下さい。


それが、俺の一番の願いです。


すみれの花言葉は、

『ささやかな幸せ』

『ささやかな愛』


俺は、君とたくさんのことを積み重ねてできた花束を、いつか贈ります。

そして、
小さな愛も、幸せも、
いつか大きく育ったと笑い会える日を、
思い描きます。