~ 悠希 side ~
「すみれ!!」
保健室の扉を勢いよく開けると、
丁度、蓮が俺の右側からスッと抜けて出ていってしまった。
その背中が、少し悲しそうに見えたのは、多分気のせいじゃない。
俺はすみれに走り寄った。
「すみれ……」
そこには、目の端を濡らしたすみれが横たわっていた。
「……俺、蓮探してくるね」
「俺も行きます」
凛空と千尋はそう言うと扉を閉めた。
保健室は、俺とすみれの二人きりになる。
俺はすみれをギュッと抱きしめた。
ごめんね…ごめんね…。
抱いた身体は、ただでさえ細かったのに、もっと細く感じた。
……俺のせいだ。
こんなにもすみれを傷つけていたなんて、
小さいときからずっと一緒にいたのに、
なんで気づけなかったんだろう?


