「佐伯……」
俺はもう一度、佐伯の髪を撫でた。
その時、佐伯の目の端からツーっと雫が垂れた。
「佐伯っ……」
目を覚ますと思って、
ギュッと手を握った。
でも、その涙は、そのまま枕へとシミを作った。
「ゆ………き…」
彼女がそう呟いた声は、
俺の心にでこだました。
俺の手から、
するりと彼女の手が抜ける。
分かってるのに、
俺じゃないって、あんなに分かっていたのに……。
期待しちゃうんだ…笑顔を魅せられるたびに…。
片想いは楽しいなんて言うけれど、
泣いてばかりだ。
「ありがとう……」
少しだったけど、
君の見る世界で笑いあえて、
君の体温を感じて、
幸せでした。
ありがとう。
眼帯の隙間から、
ツーっと涙が流れた。
先輩と
後輩で、
ただの寮生で……。
もう、いいんだ…。


