「佐伯先輩に、何があっても知りませんよ…?」
佳奈の手は、だんだんと震え始めている。
俺は、そんな佳奈の手をキツく握り締めた。
「……いいよ。俺が…守るから…」
「えっ……?」
佳奈が大きく目を見開いた。
「何があっても、俺がすみれを守る」
今度こそ迷わない。
絶対に、俺が守るから。
だから、
だから、
「ごめんね」
俺のその言葉を聞くと、
ゆっくりと、徐々に佳奈の手の力が抜けていった。
佳奈、ごめん。
こんな俺を、
愛してくれてありがとう。
そんなにも愛してくれていたのに、
たくさん傷つけてごめん。
今度は、その愛を、
キミを心から愛してくれる人に、
あげてください。
俺は佳奈の手から、
スッと自分手を抜くと、
佳奈の嗚咽と泣き声を背中に、
そのまま走り出した。
佳奈、俺以上に、幸せになれ…。
振り返りたい気持ちを捨てて、
すみれの元へ走った。


