すみれが、倒れた……?
俺の身体は、自然と校舎へと向きを変えていた。
だけど……。
「待ってください。私との約束、忘れたの?」
佳奈が繋いでいた手を、思い切り握る。
「先輩、私と付き合ってくれるんでしょ?…佐伯先輩より、私の方が悠希先輩を絶対に幸せにできる。私の方が、笑わせてあげられる…。そうでしょ?」
佳奈は、今まで見たことがないくらいに悲痛な視線を向けてくる。
俺は、そんな目に怯んでしまう。
「何してるんですか先輩!すみれ先輩のとこに行きましょう!?」
千尋の真っ直ぐな視線。
俺は……どうしたらいい…?
" 誰も傷つけないなんて方法は、結局無理なんだから "
以前、凛空が言っていたのを思い出す。
……そうか。
俺は、誰も傷つけないようにって、
それなのに、一番大切な人を傷つけていたんだ…。
そんな簡単なことに、今の今まで気づかなかったなんて…。


