~ 悠希 side ~
「これで本当に、すみれには何もしないんだな…?」
すみれと約束した定演の10分前。
俺は、佳奈に無理矢理連れ出されていた。
佳奈は俺にここで待っててと言うと、
数分して、嫌な笑を浮かべて戻ってきた。
「そうだね。約束は守る」
本当は、最前列で、最後のすみれの定演を見たかった。
でも、すみれと関わるようならすみれを傷つけると言われて、もう、何も出来なくなってしまった…。
佳奈はぐいっと俺の手を引く。
「今日は、私の家に来てっ。先輩」
何も言えなかった。
言いなりな俺が情けなかった。
だけど、すみれに何かあってからじゃ遅いから…。
「あぁ……」
俺は小さく返事をして、
佳奈に手を引かれた。


