「すみれ…?」
後ろから麗華ちゃんに声をかけられるけれど、振り返ることも、歌い出すこともできなかった。
その間も曲はどんどん進んでいく。
ざわめく観客の中、架神君が代わりに歌を始めてくれる。
観客は、初めて聞く架神君の歌声に、更にざわめきを強める。
それでも、私の頭は思考を許さなかった。
"悠希がいない。"
その現実を突きつけられた私は、
立っていることすらツラくなっている。
期待していただけに、信じていただけに、
ショックは大きかった。
動悸がおさまらず、
息をするのも苦しい。
涙が溢れてきた。


