「すみれちゃん、顔色悪いんやない?」
ギターのチューニングしている手を止めて、架神君が視線を送ってくる。
「そうかな?緊張してるのかも…」
そうは言ったものの、私の頭の中には悠希のことしかなかった。
来ていて欲しい…。
それだけだ。
『それでは軽音楽部、full forceによる発表です』
生徒会の放送が講堂に響く。
楽器のセットを終えた私たちは、それぞれ向き合った。
幕が上がり始める。
「いくよ!ワン、ツー、スリー!」
幕が上がりきる前に、麗華ちゃんのドラムスティックがカチカチと音を鳴らして、演奏がスタートした。
前奏は30秒程度。
私は目の前に広がる観客をグルッと見渡す。
どんどん動悸が速くなる。
息も上がる。
full forceの登場に、みんなが歓声をあげた。
……どうして……?
いくら見渡しても、悠希はいない。
私は信じられなくて、何度も視線を巡らせる。
だけど、結果は同じ。
そのうちに、歌が始まってしまったけれど、私の頭は真っ白になってしまって、声が出ない。
どうしよう。
焦れば焦るほど何も考えられなくなってしまう。


