どうして…
どうしていないの…?
講堂を一周しても、悠希の姿は見当たらなかった。
見落としたハズはない。
あんな派手な見てくれで、
こんなに好きな人を、見つけられないハズがない。
───── 私じゃなかったんだ。
心の中の私が言った。
悠希が選んだのは、大倉さんだったんだ…。
その時、背後から声をかけられた。
「佐伯先輩」
振り返ると、大倉さん。
なんで、こんな時に…。
私は無視して歩みを進めた。
けれど、次にかけられた声が、私を止めさせた。
「悠希先輩なら来ませんよ」
「えっ…?どういう ──── 」
「すみれちゃん!そろそろ本番やで」
大倉さんに聞き返す前に、
架神君が私を呼びに来た。
「すみれちゃん…?」
架神君が怪訝そうに私と大倉さんを見ている。
「あっ…ごめんね、行くね」
私は架神君の元へ走る。
大倉さんの前から去る途中、
彼女がニヤリと笑ったのを、私は見てしまった。
……悠希…お願い…。
そばにいさせて……。


