~ すみれ side ~
「うぅ……緊張する…」
いよいよやってきた定演。
舞台裏から客席を覗くと、
3年生最後の定演ということだけあって、講堂は超満員だった。
「すみれってば、いっつもそれなんだから」
「だって、歌うんだよぉ…」
私は震わせた声で麗華ちゃんに緊張を訴えると、また客席を覗く。
悠希、来てるかな。
そればかりが気になってしまう。
来るって言ってたけど……。
だけど、まだ明るい客席には、悠希の姿はなかった。
どうしてだろう…開演10分前なのに…。
変な胸騒ぎがする。
私は、いる、という確信が欲しくて、席を立ち上がった。
「ちょっとお手洗い行ってくる!」
みんなにそう言い残して、私は舞台裏を飛び出した。
悠希……もう、離れないで……。


