「んん……」


そんな葛藤に駆られていると、
架神君が目を覚ました。


「なんやぁ、すみれちゃん…」


架神君は、寝ぼけたまま私に手を伸ばす。


「架神君、風邪ひくよ?」


「あぁ、せやなぁ…」


架神君は大きく伸びをする。

私は、雑誌から目が離せなかった。

本当に架神君…。
いや、でもそんな趣味……!!

私の視線に気づいたようで、
架神君は、あぁ、と付け足した。


「これなぁ。京都におる妹が、もう少しで誕生日でなぁ」


照れくさそうに頭をかく。
なるほど、と納得する。


「架神君、妹いたんだ…」


「今、小6や。誕プレっちゅーのあげたいんやけど、さっぱり決まらんくてな…」


架神君が、雑誌を渡してくれる。
私はペラペラとめくってみた。


なんだか、今の小学生ってすごいんだな…。
モデルさんたちが着ている服は、小学生とは思えないほどオシャレだった。


「どんな妹さんなの?」


「んー、せやなぁ…。ちっさくて、可愛いくて、落ち着いた子やなぁ」


妹のことを話す架神君は、すっかりお兄さん、という顔になっていた。

きっと、大切な妹なんだな…。


「運動靴…とか?あぁでも、中学生になったら、あんまり履かないのかな?スクバ?でも好みがあるしね…」


私はブツブツと呟きながら考える。
そんな私を見て架神君が吹き出す。


「なんや、むっちゃ本気やな。すみれちゃんが考えてくれたら、ほんま助かるわ」


そう言って無邪気に笑顔を見せてくる。
そんなこと言われたら…。
絶対妹さんが喜んでくれるようなプレゼントを探してやる!!!


「ねぇ、明日空いてる?」


気づけばそんなことを口走っていた。


「空いとるけど…」


「じゃあ、一緒にデパートに行かない?妹さんが喜びそうなもの、探すから!」


私がそう言うと、架神君はびっくりした後、嬉しそうに言った。


「ほんま、すみれちゃんに相談してよかったわ!サンキューな」


向けられた眩しい笑顔に、
私はただただ恥ずかしくなるばかりだった。