「あの…だから…その……。もう一度、チャンスをくれ」
悠希の熱い視線に、
ずっと見入ってしまう。
なんでだろう。
許せないって、
もう好きじゃないって、
あんなに思っていたのに、
今すぐ君を近くに感じたいと思ってしまう…。
「返事を今すぐなんて言わない。ただ、俺の気持ちを伝えたくて…」
何も言えない私に、悠希の言葉はだんだんと弱くなっていく。
「伝えたかったのは、それだけ。引き止めてごめんね」
悠希はクルッと踵を返して、私に背を向けた。
「待って……待って!」
次に引き止めたのは、私の方だった。
感情より先に悠希に手を伸ばしていた。
悠希は心底びっくりしたように私に顔を向ける。
「来週の定演…見に来ても、いいよ」
「えっ……?」
これが、私に言える最高の返事だと思う。
バンドのみんなと最後の定演に向けて作った曲。
この曲に乗せて、悠希に思いを伝えよう。
意味を飲み込んだらしい悠希は、
元気にコクリと頷いた。


