「すみれ」
夕食の片付けを終えて2階へ上がろうとする私の腕を、悠希が掴んで引き止めた。
「なっ、なに…?」
突然のことに緊張して、私の表情と身体は自然と強ばる。
「あぁ、なんつーか、話って言うか…」
悠希は右手で私の左腕を掴んだまま、気まずそうに左手で頭をかく。
私が腕に視線を落とすと、
悠希はハッとしたように手を離した。
「悪い!あぁ…えっと……」
「話って?」
目を泳がせる悠希を、私はじっと見つめた。
会話に温かみはないけれど、
悠希と話すのなんて、すごく久しぶり。
「……マジで、か…大倉とは何もないんだ。すげぇ女々しいけど、ずっと、すみれだけだったから。お前のこと傷つけて、ほんと、悪かった」
悠希が真面目な視線を向けてくる。
悠希もこんなに真剣な顔をするんだ…。


