「「ただいまー!」」
部活が終わり、架神君とすみれ荘へ帰る。
12月に入り、さらに寒さが増した。
足を踏み入れたリビングは、まさに天国だった。
「あっ、お帰り〜」
キッチンに立って晩ご飯を作る凛空先輩が声をかけてくる。
退学の騒動があってから、こうやってキッチンに立つ凛空先輩を見ると、とても安心する。
一ノ瀬先輩は元々帰宅部だけど、
悠希も凛空先輩も受験が近いから、
こうして私たちより先に寮に戻っていることが増えた。
卒業が近づいていると思うと悲しいけれど、一緒に過ごせる期間はもう4ヶ月を切っている。
それまでは、悲しい話はなしって決めているから。
「2人とも、最近遅いね?定演近いの?」
先輩は慣れた手つきでキャベツを千切りにしていく。
「はい。来週なんです。3年生が見れる最後の定演だからって、みんな気合い入ってて…」
私が苦笑いで言う。
「そうなんだ。絶対見に行くね」
先輩は微笑むと、リビングの扉を開け、
2階に向かって、飯ー、と叫ぶ。
凛空先輩は、ご飯の支度が出来ると、決まってそうやってみんなを呼んでくれる。
それも見慣れた風景だった。
私はスクバから課題の教科書を取り出すと、凛空先輩のご飯の支度を手伝った。


