~ すみれ side ~
「すみれちゃん、元気ないやん」
「ッ!?…架神君……ありがと」
今月の定期演奏会に向けた部活の休憩中、ベランダに出て風を浴びていると、架神君が私の頬に冷たく冷えたペットボトルを当ててきた。
「らしくないなぁ。どないしたん?」
架神君はベランダのフェンスに寄りかかると、優しい笑みを浮かべる。
私の周りは、こんなにも優しい人でいっぱいだったんだ…。
少しウルっとくる。
「なんでもないの。ただ、定期演奏会、すっごい緊張するなぁって…」
私のもう一つの悩み。
それがバンド活動。
人前に出るのはそんなに得意じゃないから、今からドキドキしてしまう…。
「なんや、それなら大丈夫」
架神君はガラス戸の向こうで、楽器のチューニングをしている皆に視線を向ける。
「僕も、皆もついとるし、すみれちゃんは一人やないんやから」
「架神君………」
"一人じゃない"
その言葉が、とても心に響く。
私は、一人じゃないんだ。
すみれ荘のみんな、
バンドのみんな、
クラスのみんな、
みんなが、私を支えてくれているんだから。


