『先輩、見てほしい画像があるんです』
佳奈は俺を呼び出すなりそう言った。
渋々提示された画像に目をやると、
それは言葉を失うものだった。
蓮がすみれに手を伸ばして、
仲むつまじく笑い合う、まるでカップルなような写真。
『……なにこれ…?』
『たまたま見つけたから、先輩に知らせなきゃって。これで分かったでしょう?悠希先輩は私だけ見ていてくれればいいの』
確かに、驚いた。
少し、傷ついた。
でも、俺だって今していることは、
すみれとは変わらない。
それに、これだけは言える。
『すみれも、蓮も、そんな奴じゃない』
俺はグッとスマートフォンを押し返す。
すると、佳奈はイラッとした顔をする。
『そんなに彼女が大事?どうして私じゃダメなの?』
『俺はすみれが好きだから』
そう言った瞬間、
佳奈は俺のネクタイを引っ張って、
唇を近づけた。
キスされる。
そう思って、グっと佳奈の肩を押し返した。
キスはしていないけれど、
すみれから見れば、そう見えてしまったのかもしれない。


