私たちは、大通りを抜けて商店街を走っていた。
多分、制服を着た男女が手をつないで走っている姿は異様だったと思う。
先輩は眼帯だし、顔が整っているし、背も高いし、一人でいても目立ってしまうのだから。
私は風になびく先輩の黒髪を、
ずーっと見つめていた。
なんか、もう、どうでもいいとさえ思えてきた。
悠希は私を選ばなかった。
ただそれだけの話なんだなって。
そんな風に思えてきた。
別の恋だって、あるんだ。
悠希だけじゃない。
恋の形は沢山あるんだから。
息が上がり始めた時、
先輩が走る速度を落とした。
私たちは路地裏に入ると、
手を離す。
「佐伯…ごめん…大丈夫…?」
先輩も疲れてきていたようで、
ハァハァと息をついている。
「大丈夫…ですけど、何が、あったんですか…?」
息を整えながら問う。
「バイト先の客が…追いかけてきたから…」
…そんなようなことだとは思っていたけど…。


