「佐伯先輩」
ビクッとして振り返ると、
そこには私の恋敵、
悠希に言い寄っていた女の子がいた。
その女の子は、高く結い上げたポニーテールがよく似合っていて、
私より全然美人で、
どちらかと言うと悠希の好みのタイプの女の子だった。
胸元に光るエンブレムとリボンの色から、私より1つ年下の1年生だということが分かる。
「あの……」
私が困惑していると、女の子は早口に喋り出す。
「大倉佳奈っていいます。私、悠希先輩と中学の時付き合ってました」
「えっ……?」
頭が、フリーズした。
ずっと好きだったと言ってくれていたから。
それに、中学の時…そんなこと一言も言ってくれなかったのに…。
「あの…なんなんですか…」
ようやく絞り出した声も、
ちゃんと届いたか分からない。
「悠希先輩を追いかけてこの学校まで来ました。大好きなんです。悠希先輩と付き合いたいと思ってます」
「私だって…悠希のこと…」
「佐伯先輩、南條先輩とも、一ノ瀬先輩とも仲良くしてますよね?私の方が悠希先輩を幸せにできます」
"悠希を幸せにできる"
その言葉が、
重くのしかかった。
私が悠希のそばにいて、幸せだと思う瞬間が少なくなりつつあるのに、
私が悠希を幸せにできるはずがない。


