あれ?
なんか違くない?
そう思ったのは、悠希の部屋にきてすぐのことだった。
「えっと……」
去っていくお母さんの背中を見ながら呟く。
まず布団じゃないし…。
ベッド1つだし…。
「あのクソババァ…」
悠希が小声で言う。
ふふっと笑う。
久しぶりに会ったけれど、お母さんが変わっていなくて安心した。
人も物も、時の流れとともに変わっていってしまう。
でも、悠希も、悠希のご両親も、
両親の亡くなった私に同情することもなく、いつも通りに接してくれた。
「お母さんに申し訳ないし…寝よっか」
閉まった扉を見つめている悠希の背中に声をかける。
すると、悠希が、えっ!?、と声を上げる。
「すみれはそれでいいのかよ!?」
「私…?別にいいけど…」
「ちょっと待てちょっと待て…」
悠希は顔を手で覆いながら後ずさる。
艶やかな茶髪の隙間から覗く耳は真っ赤だった。
「悠希が嫌なら私はこっちのソファで寝 ──── 」
「嫌じゃない!嫌じゃない!けど…」
悠希が真っ赤な顔で私を見つめる。
変だなぁ…。
私が首を傾げると、悠希はニヤッと笑うとボソッと言った。
「手ぇ出さない自信ねぇよ?」


