「覚えてる?小さいとき、迷子になったすみれを見つけた帰りに、一回だけ来たことあるんだけど」
その話で、私は思い出した。
まだ小学校2年生くらいだったと思う。
お使いに行った帰りに、帰り道が分からなくなって泣いていたところを、悠希が見つけてくれて、泣きやまない私を、ここに連れてきてくれた。
迷子になった私を見つけてくれたのも、
泣きやましてくれたのも、
いっつも悠希だった。
「うん…!変わってないね…」
私は大きく息を吸い込む。
自分の悩みが、ちっぽけな気がしてきた。
出会いもあれば、別れもある。
卒業は、けして終りなんかじゃない。
前向きに考えられる気がする。
「すみれ、いっつも泣いてたよね」
「たしかに、そうかも…」
涙脆いのは、今も変わっていない。
何かある度にいつも泣いてしまう。
「…目、閉じて」
悠希が優しく呟く。
私は大人しく目を閉じた。
優しく触れる唇。
どんな時よりも1番近い悠希の香り。
唇が離れると、悠希はまた呟いた。
「泣きそう?」
絶対バカにされてる…!
そう思っても、感情は正直で、
「バカ…」
私は涙声でそう呟いた。


