ルームシェア~7人の王子様~



「覚えてる?小さいとき、迷子になったすみれを見つけた帰りに、一回だけ来たことあるんだけど」


その話で、私は思い出した。

まだ小学校2年生くらいだったと思う。
お使いに行った帰りに、帰り道が分からなくなって泣いていたところを、悠希が見つけてくれて、泣きやまない私を、ここに連れてきてくれた。

迷子になった私を見つけてくれたのも、
泣きやましてくれたのも、
いっつも悠希だった。


「うん…!変わってないね…」


私は大きく息を吸い込む。


自分の悩みが、ちっぽけな気がしてきた。

出会いもあれば、別れもある。
卒業は、けして終りなんかじゃない。

前向きに考えられる気がする。


「すみれ、いっつも泣いてたよね」


「たしかに、そうかも…」


涙脆いのは、今も変わっていない。
何かある度にいつも泣いてしまう。


「…目、閉じて」


悠希が優しく呟く。
私は大人しく目を閉じた。


優しく触れる唇。

どんな時よりも1番近い悠希の香り。


唇が離れると、悠希はまた呟いた。



「泣きそう?」


絶対バカにされてる…!
そう思っても、感情は正直で、


「バカ…」


私は涙声でそう呟いた。