「悠希!サルがいっぱい!!」
「あんま引っ張るなって〜」
「悠希!ライオン!!」
「あんまはしゃぐなって〜」
動物を目の前に、
私は悩みなんて吹っ飛んでしまっていた。
悠希は、動物を見るよりも、
私を気にかけてくれていて、
終始はしゃぐ私に呆れていた。
「楽しそうでよかった」
うさぎに餌をあげる私に、
悠希は嬉しそうにそう言った。
「悠希と来れてよかった」
心からそう思って言うと、
悠希は少し驚いた顔をした。
「俺は動物見るより、すみれを見てたいけどな」
「バカ!」
真顔でそんなことを言うから、
私は軽く悠希を叩いた。
悠希は高城君以上に女の子の扱いになれている。
私に、迎えに行くから、なんてプロポーズみたいなことしてるけど、
きっと他の女の子にもそんなこと言ってるんだろうな、と思うと悲しくなる。
しょうがないと思う。
私は彼女でもなければ、
告白できる勇気があるわけでもないし。
でも、二人でいれる時が嘘じゃないから、幸せで。
優越感に浸って、期待しちゃうんだ。


