時が過ぎるのは早く、とうとう悠希と出かける日がきた。
今日は、私がお願いして、動物園に連れていってもらえることになった。
動物園なんて、幼稚園の時に行った記憶しかないから、すごく楽しみ。
そして、これもまた私のお願いで、今日は制服デート(?)だ。
なんだけど……
「ど…どうしよう…」
私は時間ギリギリまで髪の毛と格闘していた。
長い髪を巻いてみたはいいけど、
いつもはしないメイクをしたりしてみて、
少しキメすぎたかな…。
「すみれ、大丈夫?体調悪い?」
部屋の扉の向こうで、
悠希が心配そうに声をかけてくる。
「ううん!そうじゃないの…」
いつも悠希と出かけるとき、
こんなに身なりに気を使うことなんてなかったのになぁ…。
「ちょっと入るよ?」
「あっ、うん」
ガチャリと扉が開いて、悠希が顔をのぞかせる。
私は恥ずかしくて、上目遣いに悠希を見上げた。
「かっ…可愛い…」
悠希が私を見てぼそりと言う。
一瞬にして私の顔が熱く紅潮する。
「変じゃないかなぁ…?」
私は心配になって、悠希の前でくるりと回って見せる。
「それは反則でしょ…。俺の前以外では、しないでよ?」
悠希はそう言ってずるい笑顔を浮かべる。
そうやっていろんな女の子を落としてきたんだ…。
私もその一人なんだろうけどさ…。


