「ちょっと、すみれさん悠希のこと見ててやって」
「あっ、はい…」
頼み綱だった凛空がキッチンに消えていく。
おい、嘘だろ……。
すみれが俺の頬に手を充てがった。
一瞬にして身体が熱くなる。
変に意識してしまう…。
「ちょっと熱いかも…。ごめんね、大丈夫?」
「いや…うん…」
言葉に詰まる。
どうしよう…すみれといてこんなに気まずいのって初めてかも…。
「…見てないから…なにも…」
一生懸命絞り出して出た言葉が、
それだった。
「別に…いいよ…。悠希なら…」
「えっ……?」
思考が停止した。
「ごめん、もう一回言って…」
「やっ…やだ。バカ悠希」
恥ずかしがってそっぽを向くすみれ。
それが可愛いくて横顔にキスをした。
「っ!?」
やっぱり、気持ちを伝えられるのは、
もう少し先なのかもしれない。
でも、少しの間なら、
友達以上恋人未満でもいいかなって、
思うんだ。


