見ると、人影が衣服を脱いでいる影が浮かんでいる。
この寮は、風呂は俺が今入っている大浴場しかないので、時々誰かと鉢合わせることがあった。
誰だろう…?
細いフォルムからすると、
蓮か…?
でも、アイツにしては背が小さい…。
じゃあ千尋か?
そう思っていると、
フサァっと影の髪の毛がなびいた。
髪の毛が…フサァっと。
長い髪の毛が、フサァ……。
……すみれ…!?
俺は勢い良く湯船から立ち上がった。
男どもと鉢合わせることはあっても、
風呂の片付けと一緒に入っているすみれとは、一緒になったことがなかった。
脱衣所からは、可愛げな鼻歌が聞こえている。
…さぁ、どうするか。
隠れる場所がないか、風呂場を見渡す。
残念ながら、小窓が一つと大きな湯船とシャワーが5つしかない。
「…すみれー?」
声をかけるけど、一向に返事は帰ってこない。
俺は意を決して、扉に一歩づつ近づいた。


