凛空といると、
全く気を遣わないし、
むしろ落ち着く。
もう、こいつと一緒にいるのって、10年近くなるんだな…。
「あー、布団干したばっかなのに…」
凛空は少しムッとしたようにソファに腰掛けた。
「…マジでよかったよ。お前がいなくなんなくて…」
自然と本音が漏れた。
凛空はずっと俺を支えてくれるって、
勝手に思い込んでたから、
正直、退学するって聞いたときは驚いた。
「なーんだよ、らしくないじゃん」
凛空は機嫌良さそうに笑う。
「…別に」
俺は恥ずかしくなって寝返りをうった。
「まぁいいけどさ。…すみれさんとはどうなの?」
「…へ?」
しっかり聞こえたけど、
聞こえないふりをした。
実際のところ、
気持ちを伝えようと決めて寮に帰った日、
あの日は、すみれが千尋に断っていたところをたまたま聞いてしまい、
告白するタイミングを逃してしまった。
あれからというもの、
全く気持ちを伝えていない。


