「改めて、これからもよろしくお願いします」
御両親が去ったあとのリビングで、
いつものすみれ荘の面々に頭を下げる凛空先輩。
結局、お父さんが考えを改めたために、
凛空先輩は、この学校で卒業を迎えられることになった。
「良かったですよ〜。凛空先輩がいなかったら誰がご飯作るんですか〜」
高城君が柔らかい笑みを浮かべる。
「千尋君はいつもそればっかり」
「凛空がいないと…この寮は成り立たないしな…」
鈴屋君も一ノ瀬先輩も、
こころなしか嬉しそうだった。
「蓮さんの言う通りだな。悠希さんにモノを言えるのは凛空さんしかいない…」
「あぁ?琉生、なんて?」
「ほな、凛空さんの荷物、部屋に戻そうや」
みんな、凛空先輩が残ってくれることが満更でもないみたいで…。
やっぱり、この寮は、
一人でも欠けたらダメなんだ。
私は荷物を2階に運んでいく、みんなの幸せそうな背中を見ながらそう思った。


