「もう…なぁに?」
私は一旦本を閉じた。
ダメだ。
今はとりあえず、この甘えた後輩の相手をしよう。
「先輩、本ばっか読んでないで、俺と遊びましょうよ〜」
「遊ぶって…?もう夕方だよ?」
窓からは西日が差し込んでいる。
そろそろ、生徒会組がすみれ荘へ戻ってくる頃だろうか。
高城君は、んーとしばらく考えたあと、ああ!と声をあげた。
「それなら、俺がこの寮のみんなを紹介します!」
高城君の言葉に、首をかしげた。
「紹介……?」
「はい!先輩、まだ寮のみんなのこと、あまり良く知らないでしょう?だから、今からみんなの部屋行ってみましょう!」
私の返事を聞くより先に、
高城君は私の手を引っ張って、
2階へと上がっていく。
全く…ワガママ後輩には困ったものだ…。