ルームシェア~7人の王子様~



悠希と共に先輩の後を追ってリビングに入ると、

いつもみんなでご飯を囲むテーブルに、
凛空先輩の御両親がいた。


「来てたんだ…」


お父さんは、凛空先輩を一瞥すると立ち上がった。
そして、凛空先輩に歩み寄る。


手をあげられる、
そう思ったのは一瞬だった。

お父さんはそのまま力強く、
凛空先輩を抱きしめた。


「とっ、父さん!?」


凛空先輩は見開いた目を泳がせている。


「凛空、ごめんな。ごめんな…」


「父さん…?」


先輩のシャツが、涙で濡れていく。


「父さんが高卒で、会社を立ちあげるのに苦労したから、凛空には苦労させたくないって必死だったんだ。でも、凛空には凛空の夢があるなんて当たり前のこと、父さん、忘れてて……ごめんな」


男の人の涙を初めて見た。
息子を抱きしめて泣くお父さんは、
すごくかっこよく見えた。

家族って、すごい。

純粋にそう思った。