「凛空先輩……」
嬉しくもあり、不思議でもあった。
すごくロマンチックなことだけど、
別れ際のセリフみたいで、寂しかった。
と、その時
「凛空、入るぞー」
ガチャリと扉が開いた。
顔をのぞかせたのは悠希だった。
「あっ、すみれもいたんだ。…下に、凛空の御両親来てるぞ」
悠希の言葉に、場の空気が一瞬固まった。
沈黙を破ったのは、凛空先輩だった。
「じゃあ…行こっかな」
立ち上がった先輩に、私は不安の視線をむける。
「大丈夫だよ。言いたいこと、ちゃんと言ってくるから」
にっこり笑う先輩の笑顔に負けて、
私は頷いた。