「そうなんですか…。凛海ちゃん、きっと雨宮先輩の事すごく心配してたんだと思います……」


「凛空でいいよ」


「えっ、あ、はい…!」


突然指摘されて噛みまくる。

そう言えば、先輩のお家では凛空先輩って呼んでたんだっけ…。


「凛海が…俺の事ね…。確かに、いい妹だよ。あいつは」


「素敵ですね、兄妹って」


先輩がトントンとソファを叩いたので、
私は先輩の隣に腰掛けた。


「すみれさんはご兄弟は?」


「私一人っ子なんです。ずっと兄弟が欲しかったんですけど、悠希君がいるからいいでしょって言われてて…」


私が苦笑して言うと、先輩は床に視線を落とした。


「悠希と…幼馴染みなんだよね」


先輩は確認するように小声で言った。


「そう言うのを、運命っていうのかな?72億人もいる中の、ほんの二人が、出会って、愛し合って…。きっと、誰にも割り込めないような運命なんだろうね…」


「凛空先輩…?」


私が声をかけると、先輩はハッとしたように自嘲気味な笑みを浮かべる。


「ごめん、なんでもないよ。でも、俺たち8人がこうしてすみれ荘で出会えた確率って、ほんとにすごいと思う。だから、大事にしていきたいんだ。ずっと…」