ルームシェア~7人の王子様~



「お兄ちゃん?」


雨宮先輩が、うおっ、と声をあげて振り返る。

振り返った先にいたのは、
大きな瞳に、腰までのツインテールと切りそろえられた前髪が特徴的な、中学生くらいの女の子だった。


「あ、凛海!」


雨宮先輩に、りか、と呼ばれた女の子は、嬉しそうに大きな目をさらに大きく輝かせた。


「帰ってくるの、今日だったの?」


おそらく雨宮先輩の妹であろう凛海ちゃんは、玄関の門を開けながら言う。


「今日は、親父たちに話があって…」


凛海ちゃんは、ふーん、と答えると私と悠希に視線を向ける。


「悠希さんとすみれさんも、どうぞ入ってください」


言われてびっくりする。

なんで私の名前……。


「あっ、お兄ちゃんから聞いてます。お兄ちゃん、学校の話聞いてもすみれ荘の話しかしないから…」


なるほど……。

本当に、雨宮先輩はすみれ荘が大好きなんだ…。


絶対に、絶対に、
御両親を説得しないと…!