そう思ったのは4時間以上も前のことで、
雨宮邸に着いた時には、私の緊張はピークに達していた。
先輩宅は閑静な高級住宅街にある、洋風な造りだった。
「すごい緊張してきた…。親父に殴られるかもなぁ〜」
そう呟いた先輩は珍しく緊張した様子だったけど、相変わらず笑顔を絶やしていない。
この人には笑顔でい続けるポテンシャルが備わっているらしい。
「鳴らすよ?」
悠希がインターホンに手を伸ばす。
「だぁぁ!ちょっと待って、ちょっと待とう」
先輩は大声で悠希を制すると、
自分に言い聞かせるように深呼吸をしている。
緊張してる先輩、なんか可愛いかも…。
そんな風に見ていると、不意に後ろから声をかけられた。


