「うっわ!先輩顔」
高城君が悠希の顔を見て爆笑する。
「……愛情の裏返しだ…」
そう言う悠希の顔には、
私の手のひらのあとがクッキリと残っている。
ちょっと、強く叩きすぎたかなぁ…。
そう思っていると、琉生君が小さくグーと親指を立てた。
ふふっと、私は笑いをこぼす。
「あれ?先輩たち、今日学校は?」
私服の悠希と私を見て、
鈴屋君が首を傾げた。
「あ、今日はお休み。用事で」
そう言うと、それ以上は何も聞いてこなかった。
「雨宮先輩、玉子ふりかけ取ってください」
高城君が雨宮先輩に向かって手を伸ばす。
「はい。あ、かけすぎないようにね」
「じゃあ先輩かけてくださいよ」
「なんでよ」
こんな微笑ましい光景も、
雨宮先輩の両親との話し合いが上手く行かなければ、
……最後なんだ。
そう思うと、緊張してしまった。
「お前はそばにいるだけで華だから、あんま緊張すんなよ〜」
悠希がご飯に箸を通しながら、
何気ない感じに言ってくる。
なんだかんだ言って、
最後に私を助けてくれるのは、
いつも悠希なんだよなぁ〜。
そんなことを考えていたら、
いつの間にか緊張は和らいでいた。


