ルームシェア~7人の王子様~




「じゃあ、また明日」


部屋から出ていく雨宮先輩を見送り自室に戻ると、今にも(人のベッドで勝手に)寝そうな悠希に声をかけた。


「悠希〜?自分の部屋で寝なって」


「すみれも隣おいでよ〜…」


悠希は少し右にずれると、
掛けた布団を持ち上げた。


「もう子供じゃないんだから…。ほら、立って…」


私は悠希の肩を持って起こそうとする。
でも、男子校生というのはとても重いもので、多少持ち上がっただけで起こすとまではいかなかった。


と、その時、
ポスっと悠希が腰に抱きついてきた。


「な、なに!?」


私は素っ頓狂な声を上げる。


「ありがとね、すみれ。凛空のこととか…いろいろ」


その言葉に、私はふっと息を吐いた。


本当は、先輩がいなくなるのが1番辛いのは悠希だったんだよね。

知ってるよ、そんなの。


ずっと、悠希の隣にいたんだもん。


「ん…。いちごパフェで許してあげる」


私は冗談半分で言う。
悠希は小刻みにこくこくと頷くと、
そのまま、また寝てしまった。


まったく…もう…。


そうは思ったけど、
私のその日の記憶は、そこまでしかない。