……今なら、言える気がする。
" 一緒に卒業できなくてごめんね "
その文字が浮かび上がる。
先輩、
それは、
こういうことですよね…?
「行かないで下さい。先輩……」
私も一言、そう言った。
「……本音言うと、帰りたくない」
先輩は小さく言う。
「ずっと、卒業するまでみんなといたい。みんなに料理作って、琉生と千尋のケンカ見て……。まだまだしたいこともたくさんある」
先輩を見上げる私の頬を濡らす涙を、
先輩は自分のパーカーで拭ってくれた。
「しょうがないって言うのも、言い訳だって分かってる。だけど、もう、退学届けは受理されたし、親だって、俺が帰るのを待ってる」
そっか…退学届け…。
いくら戻って来てって言っても、
そればかりは ───────。


