「先輩の……嘘つき……」
先輩の几帳面な綺麗な字に、
涙のシミができていく。
「未練たらたらじゃないですか……」
嗚咽が漏れそうになって、
私はその場にしゃがみこんだ。
「いっつも1番大人なくせに、こんなとこで気を遣うとか、ずるいです…」
「ごめんね、すみれさん」
突然、頭上から雨宮先輩の声が聞こえて、私はバッと見上げる。
そこには、困り顔をした雨宮先輩がいた。
「な……なんで……」
涙を拭いながら私は立ち上がる。
「紙がない事に気がついて戻ってきた。人の手紙盗み見なんて、いけないんじゃない?」
「嘘ついた先輩も、いけないです…」
私は睨むように先輩を見た。
「……ごめんね」
先輩は一言そう言う。


