ルームシェア~7人の王子様~



私の存在に気づいた悠希が、
リビングの扉を開けた。


「す、すみれ……」


あからさまに焦る悠希だけど、
今の私にはそれどころじゃなかった。


「どういう…ことですか……?」


私は雨宮先輩を見据える。

雨宮先輩は、何事もなかったかのように、いつもの紳士的な微笑を浮かべて歩み寄ってきた。


「今日は、早いんだね」


先輩は、落ちたバックを拾いながら言う。


「誤魔化さないで下さい!」


私は声を張り上げてしまう。


「なんでですか…?本当に退学するんですか…?」


重なった視線が、サッと逸らされる。

今までそんなこと一度も聞いてない。
なんで……?


「しょうがないよ。もう、決めたことだから」


しょうがない。
それは、肯定の意味だった。

無理に笑う先輩が、ただ切なかった。



「しょうがないなんて嘘です…!だって、先輩、誰よりもすみれ荘が、みんなが好きだったじゃないですか…!1番の宝物だって、言ってたじゃないですか…!」


涙がポロポロと床を濡らした。


「ごめん…」


雨宮先輩はそう言い残して、
私にスッとカバンを持たせると、
すみれ荘から出ていってしまった。