「たっ、ただいま!」
走って帰り5分。
私は脱ぎ捨てたローファーを揃えると、
リビングへと廊下を走る。
だけど、リビングのドアノブに手をかけたとき、私の動作は止まった。
「凛空、考え直す気はないのか?だって、あと6ヶ月もすれば卒業だそ?」
「ごめんね。親が決めた事なんだ…」
中から悠希と雨宮先輩の声が漏れていたからだ。
声のトーンが、深刻さを表していた。
「なんで突然……」
「もう、1年くらい前から言われてたんだよね…。中退してでも戻ってこいって」
「なんで言ってくれなかったんだよ」
「言えるわけないだろ…?しょうがないんだよ…学校、辞めるしかないんだ」
私の手からスクールバッグが滑り落ちる。
バックは大きな音を廊下に響かせた。
雨宮先輩が……学校を辞める…?


