「あの…あなたが、ボーカルの佐伯さん?」
ヒヨリさんが、私に向いて首をかしげてきた。
「あ、はい…多分…」
私は自信がなくて曖昧に答えてしまう。
「本当に、ありがとう。ボーカル継いでくれて。何も言わずに転校しちゃって、みんなにたくさん迷惑かけちゃったから、ずっと、心配で……」
ヒヨリさんは深く頭を下げた。
「ありがとう。本当に……」
何度もお礼を言うヒヨリさん。
「あ…あの…」
私は、ヒヨリさんみたいに可愛いわけでも、歌が上手いわけでもないけど、
だけど………
「私、頑張ります!!」
私だって、
私にだって、
きっと、
きっと………!


