と、その時、
「れーかー!!」
前から、画面で見慣れた女の子が現れた。
その子は、整った顔に完璧なスタイル。
そして何より、透き通る歌声。
架神君のバンドの、
元ボーカル。
「ヒヨリ!久しぶりー!!」
芹沢さんが飛び跳ねる。
いつもクールな芹沢さんが、
なんだかとても可愛く見えた。
「ヒヨリ、お前変わってねぇな!」
はしゃぐバンドメンバー。
少しだけ、居心地が悪かった。
頑張ろうって言ったけど、
やっぱり、
私なんて……。
そんな風に思ってしまって。
「すみれちゃん」
後ろから架神君に肩を叩かれる。
「架神君……」
「変なこと、思っとらんよな?ボクたちは、今が最高だと思っとるし、すみれちゃんにめっちゃ感謝しとる」
向けられた笑顔が優しくて、涙ぐむ。
「だから、他のこと気にせんと、目一杯歌ってや」
「そうだよ!すみれちゃんには、俺たちが感謝しないとなんだから」
綾瀬君も満面の笑みを向けてくれる。


