「佐伯なら…大丈夫だよ…」
一ノ瀬先輩は、
バイトで女の子達を散々落としたのであろう微笑を浮かべる。
みんなと話せて、
少しだけ緊張が和らいだ。
「が、頑張る……」
私は呟く。
みんな見ててくれる。
期待してくれる。
頑張らなくちゃ……。
「じゃあ、俺たち見回りがあるから、ライブには行くから」
悠希と雨宮先輩が手を挙げながら去っていく。
生徒会の仕事…きっと大変だよね。
もう夏休みも終わったのに、助っ人で手伝っていたり…。
「俺も…クラスの仕事があるから」
一ノ瀬先輩の背中もだんだんと遠くなる。
猫背気味なのに周りの人より背が高くて、かなり目立っている。
逆ナンされり、迷ったりしないで帰れるのかな…。
猫みたいだし…。
「俺も、行くね」
「また」
「じゃあ先輩、また後で!」
琉生君に続いて鈴屋君と高城君も去っていく。
みんな、自分の仕事の合間をぬって、
励ましに来てくれた。
頑張ろう……。
迷ってばっかりいられない。
私は、私らしく、頑張ろう。


