ルームシェア~7人の王子様~




そして、いよいよ文化祭。


私はクラスでの仕事をこなしながら、
緊張を紛らわしていた。


後から聞いた話だけど、
架神君たちのバンドは、校内ではなかなかの人気らしく、去年の文化祭も軽音楽部の先輩たちを抜いて、1番の人気だったらしい。


そんなこと謙虚なバンドメンバーは一切言ってくれなかった。


本当に私でいいのだろうか?


やっぱり、その悩みは消えなかった。


「あぁ!すみれ、水こぼれてる!」


「えっ!?」


愛香に声をかけられて私は手元を見る。

お客さんに配膳する水がコップから溢れていた。


やば、私ぼーっとしてた…。


「大丈夫?すみれ、疲れてるんじゃない?」


有紀が溢れた水を拭き取ってくれる。


「うーん…ちょっと緊張しちゃって…」


私は下手な笑を浮かべる。


こんなに緊張するのって、いつぶりだろう……。