軽音楽部の部室に、
繊細なメロディが響く。
もう、文化祭まで一週間をきった。
クラスでの出し物は、軽食が食べられるカフェになった。
それとは別に、
私には軽音楽部の役割もある。
もちろん、やると決めたことだし、
楽しいからいいけど、
やっぱり、練習はとても大変だった。
「もう一回やろ〜」
綾瀬君がギターを掲げて言う。
私たちは、架神君が作った曲以外に、
東條君が作った曲を演奏することになっていた。
東條君が作るのは、意外にも友情をテーマにした曲だった。
周りの人に無関心っぽい東條君からは、少し想像ができなかった。
「すみれちゃん、まだ歌える?」
架神君が私の声を心配してくれる。
「全然大丈夫。歌詞間違えちゃうとことかあるから、もう少し練習したいかな」
少しづつ、バンドメンバーにも馴染み初めて、歌うことが楽しみになっていた。
だけど、今でも、
私でいいのだろうか?
という迷いがあることは事実だった。


