「うわぁ!美味しそう!」
寄り道、といって向かったのは、
すみれ荘からほど近いところに立地した、小さなお好み焼き店だった。
「せやろ?ボクのオバサンが経営してんねんけど、めっちゃ美味いねん」
長袖のワイシャツを肘まで捲し上げ、
たくましい腕でお好み焼きを焼く彼は言う。
「誠也君のお好み焼きも美味いでぇ!おばさん顔負けや。最近、けえへんかったけん、心配しとったんよ?」
店の奥からお水を運びながら4.50代くらいの女性店員さんが言う。
多分、店長なのかな?
架神君のオバサン…?
ってことは、お母さんのお姉さんか妹さん?
「忙しいねん、ボクも。まぁ、ちっさい頃から、オカンにようお好み焼き焼かされてたからなぁ。あ、オバチャン、焼きそばお願い」
架神君の言葉に目を見開く。
「お好み焼きに焼きそば…?炭水化物と炭水化物?」
架神君がふふっと笑う。
「カントンモンは、そうやないらしいな!ボクもすみれ荘に来て、驚いたわ」
格子状にお好み焼きを切り分けていく。
関西と関東って、こんなに違うんだ…。


