「えへへ。ボクの…初恋や」
架神君は恥ずかしそうに頭を掻く。
「そうなんだ…初恋かぁ」
私は自分の初恋を思い出す。
そう言えば、私の初恋っていつなんだろう。
気づいた時には、悠希が側にいて友達以上恋人未満の関係になっていて、
結局、はっきりしないまま今に至る。
「恋って、めっちゃ難しいんやな。たとえ結ばれないって分かっとっても、その子ばっかり目でおってる」
結ばれないと、分かってても……。
それが、とても切なく感じた。
「でも、目でおってるだけでも満足って思えるくらい好きで、ほんま…訳わからん…」
架神君の笑顔が、あまりにも儚くて、私はただ彼を見つめていた。
「って…なんか恥ずいわ」
フッと息を吹き出す。
「素敵だと思うよ。その気持ち」
私は思ったことを素直に伝えた。
すると、架神君は面食らったような顔になる。
「なぁ、すみれちゃん、ちょっと、寄り道してかへん?」
唐突な質問に、私は訝しげに頷いた。


