ルームシェア~7人の王子様~



「えへへ。ボクの…初恋や」


架神君は恥ずかしそうに頭を掻く。


「そうなんだ…初恋かぁ」


私は自分の初恋を思い出す。

そう言えば、私の初恋っていつなんだろう。

気づいた時には、悠希が側にいて友達以上恋人未満の関係になっていて、


結局、はっきりしないまま今に至る。


「恋って、めっちゃ難しいんやな。たとえ結ばれないって分かっとっても、その子ばっかり目でおってる」


結ばれないと、分かってても……。


それが、とても切なく感じた。


「でも、目でおってるだけでも満足って思えるくらい好きで、ほんま…訳わからん…」


架神君の笑顔が、あまりにも儚くて、私はただ彼を見つめていた。


「って…なんか恥ずいわ」


フッと息を吹き出す。


「素敵だと思うよ。その気持ち」


私は思ったことを素直に伝えた。

すると、架神君は面食らったような顔になる。


「なぁ、すみれちゃん、ちょっと、寄り道してかへん?」


唐突な質問に、私は訝しげに頷いた。