『♪~君が幸せを感じる瞬間、
僕は隣にいないだろう。
だから、この歌を君に捧げよう。
遠ざかっていくその背中に~♪』
天使のような透き通る歌声で画面の中の女の子が歌う。
センターに立つ、転校してしまったボーカルの天野唄憂さん。
その横に、
ギターの架神君と、
可愛い顔をした綾瀬亮君。
天野さんを挟んだ隣に、
ベースを弾く、艶っぽい黒髪が特徴の東條恭平君。
その後ろには、
ドラムを叩く金髪ショートの芹沢麗華さん。
その5人は、
まるで意思疎通をしているかのように
息の揃ったメロディを奏でていた。
「こんな曲なんだけど…。お願いできるかな」
芹沢さんが優しげな瞳で問うてくる。
はっきり言って、
思った以上にみんなの演奏が上手くて、
声も出なかった。
こんな音楽を、自分と同じ歳の子達が奏でていると思うと鳥肌がたった。
「や…やります」
それしか、言えなかった。


