「へ?」
訳がわからず聞き返すと、
架神君の隣にいた金髪ショートヘアの女の子が説明してくれる。
「私たちバンド組んでて、文化祭で弾くの。でも、ボーカルが転校して、結局、集まらなくて……」
それでもなお状況が理解できずに、
目を瞬かせていた。
「ボーカル、やって欲しいねん。すみれちゃんに」
……なんで?
まずそれが一番に思い浮かんだ。
「なんで…私?」
「この前、琉生がコンクールの練習してる時、ずっと鼻歌歌っとったやろ?それで、上手いなぁ思っとって…。ボーカルがやらひん言った時も、一番に思いついたのがすみれちゃんやったん」
そういえば、
琉生君のコンクールの曲、
よく口ずさんでたっけ。
って言うか、架神君がバンドを組んでいたこと自体衝撃的で、全然理解しきれていない。
確かに、他の寮生は陸上部、水泳部、無所属、バイト、生徒会……とかって幅広いけど…。
「俺たちからも頼む」
いかにもバンドマンといった制服の着こなしの男の子が頭を下げる。
「ちょっ、頭を下げられても……」
急いで頭を上げるよう言うけれど、
皆は頑なだった。


