なんだかんだ言って、
千尋はすげぇいい奴だ。
バカなフリして、
誰よりも場の空気を読んでいる。
中学が同じだった千尋は、最も信頼している中の一人だった。
話せば長くなるけど、
千尋は中学入学時は家庭環境もあまりよくなくて、すげぇ荒れてて、
教師たちを困らせていた。
生徒会長だった俺は、
千尋の指導を任された。
幸い、千尋は横暴な不良じゃなくて、
問題児という感じだった。
千尋は勉強はできないくせに、
運動がよくできたから、
顧問や部長に頼んで陸上部に入部させた。
そこから、アイツは自分でやりがいを見つけていって、更生していった。
陸上がアイツを変えたんだ。
いちいち俺や琉生に突っかかってくるけど、
それは、不器用なアイツなりのコミュニケーションの取り方で。
よかったよ。
千尋とこうしてまた笑いあえて。
俺は、バーカと一言言って、
千尋のオデコにデコピンをした。


