「高城君の事、大好き。でも、それと同じくらいみんなのことも大好きなの…。それに、多分私、悠希と結婚するんだと思う……」
すみれが言い終わったと同時に、
噴き出すのを抑えるために口を押さえた。
あいつ、まだあのこと覚えてて……
それは、俺たちが生まれる前のこと、
俺とすみれの両親が、
生まれてくる子が男の子と女の子なら結婚させようと勝手に約束して、
それを大きくなった今でも言われ続けているのだ。
まぁ、俺は、結婚するならすみれ以外いないと思っているから、まんざらでもないんだけど
「先輩なら、そう言うと思ってました。よかったですね、悠希先輩」
千尋が俺たちが覗く扉の方に目を向けてきた。
「覗いてるのバレてたんだ」
凛空が苦笑いでリビングに入っていく。
俺もそれに続いた。
「き、聞いてたの…!?」
すみれが恥ずかしそうな顔で俺を見る。
「ごめん……」
すみれから目を逸らすと、
千尋がじっと俺を見ていた。


